外壁塗装業者選びの7項目

業者選び

7つのポイント

わが家は今年で築6年なので、あと数年で外壁塗装工事の時期がやってきます。

早目に工事費の工面を考えなければならないので、相場や基礎情報をインターネットで調べたのですが、サイトによって書いてあることがマチマチだったり、業者寄りの情報だったりで、何をより所にしてよいのか分からなくなりました。情報の提供元のほとんどが業者や仲介会社なので致し方ないのでしょうか。

これは自分で調べるしかないと思い立ったのが半年前なのですが、消費者や業者の話も聞けたし、塗装工事について自分なりに調べた情報もまとまってきたので、ここにご紹介したいと思います。記述内容は、一般的なシチュエーション(下記参照)を想定した情報となっています。

  • 戸建ての木造二階建て
  • 延床面積30坪程度
  • 外壁材は窯業系サイディング(通気工法)
  • 屋根材は平形屋根スレート葺き

私と同じ境遇にある、これから塗装工事を控えている消費者の方に、少しでもお役に立てれば幸いです。

(1) 築10・20年が施工時期(シーリング材の寿命が鍵)

耐用年数20年という塗料もあるにはありますが、外壁工事を20年しなくても大丈夫という訳ではなさそうです。例えば、外壁材と外壁材をつなぐシーリング材(コーキング、シール)は、一般的に10年位で寿命とされているので、工事時期も10年毎に検討が必要になります。
さらに、外壁にとって過酷な環境(塩害のある沿岸部、豪雪地帯)においてはもっと早いスパンで工事を検討しましょう。状況によっては早目に塗装業者(外装劣化診断士)に現地調査を依頼した方がよいです。

<シーリングの注意点>

(2) 無駄をなくして費用削減 ─ 仮設足場の話

塗装に必須の足場。飛散防止ネット込みで考えると、足場代で普通に20万位かかると思います。なので、外壁と屋根の施工はなるべく同時にして費用が嵩まないようにしましょう。

敷地面積30坪程度の二階建の場合、「足場の架面積」をインターネットで調べると概算で140㎡です。しかし、わが家は27坪なのに約200㎡でした(この数字の差にはカラクリがありそうです。詳細はその3で解説)。平米単価が1,000円だとすると20万円です。もし飛散防止ネットが別途見積もりなら更に費用はプラスされます。足場関連の費用だけで、塗装工事費用全体のおよそ二割を占めると言われます。

足場代の計算式

  • 足場代 = 足場の架面積 × 平米単価(約1,000円/㎡)
  • 足場の架面積 = (建物の外周(m) + 8m) × 家の高さ(m)

※家の高さ(1階建て=3.5m、2階建て=6m、3階建て=8.5m)
※飛散防止ネット代も要確認

<塗料材を使い分けて時期調整>
屋根は、雨や紫外線をまともに浴びるため外壁よりも塗装の劣化が早いです。屋根に使う塗料を外壁の方よりもランク(耐候性・耐久性)上げて、次回の外壁と屋根の工事時期を同時にするように工夫しましょう。
オススメの組み合わせは、外壁にシリコン系塗料(7~10年)、屋根にフッ素系塗料を使用すれば次回の工事時期を合わせられると思います。両方とも高額なフッ素系を使用するよりも費用を抑えられ、無駄がないと思います。
ちなみに、ウレタン系は比較的安価で経済的ではありますが耐用年数が短いので(5~7年なので)、ここではお勧めしません。

<30年間塗り替え不要な屋根材>
もしグラッサコートの屋根材(KMEW社製)を使っているなら、30年間塗り替え不要なので、屋根は定期検査だけで済むかもしれません。事前にご確認ください。
(参考サイト:コバヤシルーフ㈱

<付帯部も忘れずに>
付帯部(雨戸、雨樋、破風板、鼻隠、軒天など)については、業者から安価なウレタン系塗料を勧められることがあるかもしれませんが、外壁と同じ塗料(ここではシリコン系)を使用すれば、こちらも工事時期を合わせられます。

(3) 外壁塗装の相場(費用の内訳は?)

<外壁面積のトリック?>

  • 施工費 = 施工単価(塗料で異なる) × 外壁面積
  • 外壁面積 = 延べ床面積 × 係数(1.2~1.7) ※窓・ドア等の塗らない部分を除いた面積

上記の施工費の計算式をネット上でよく目にしますが、これと一緒に記載されている「外壁面積の早見表」に違和感を感じたことありませんか。延べ床面積に係数(1.2~1.7)を掛けて外壁面積を概算する早見表のことですが、大幅に少なく見積もられているように思えます。(※屋根面積の算出は妥当なのに・・・)
早見表によれば、一般的な戸建て(延床面積30坪)の外壁面積は約120㎡とのこと。わが家の場合、延床面積は27坪なのに設計図で測ったところ約180㎡ありました(ベランダ等の付帯部分を含めずにこの数字)。つまり、実際の施工費はインターネットで調べた概算費用の1.5倍以上になると考えた方がよさそうです。あくまでも早見表の数字なので正確でないことは分かりますが、それにしても差があまりにも大きいので違和感を覚えずにはいられません。外壁面積ひとつとってもそうですが、ネット上の情報は鵜呑みにせず、ご自分で調べる習慣をつけましょう。
ちなみに、業者は図面を使ったり、実測して面積を出しているそうです。

<工事内訳を照合して比較>
「作業足場の設置費」や「高圧洗浄費」「養生費」など、塗装以外にも費用は結構掛かります。業者比較をする際は、工事内訳を照合した上で比較してみてください。

工事内訳(カッコ内は、戸建二階建で延床30坪の場合の相場価格)

  • 屋根塗装・フッ素系(24万円)※施工単価は4,000円。3回塗。建材によっては塗装不要
  • 外壁塗装・シリコン系クリア塗装(54万円)※施工単価は3,000円。3回塗
  • 付帯部塗装・シリコン系クリア塗装(25万円)※うちベランダが約15万
  • シーリング打替 (30万円)※養生を含む
  • 作業足場(約20万円)※飛散防止ネット込み
  • 高圧洗浄(外壁3.6万+屋根1.2万円)※建材によっては屋根分は不要
  • 養生費用(6.3万円)

合計 約165万(外壁だけなら約140万)円(税抜価格)

 塗装費用は下記条件で変わります。

  • 塗料のグレード: フッ素 > ラジカル > シリコン > ウレタン > アクリル
    (※アクリルの使用は最近少ない。ラジカル塗料は2012年から販売開始された新しい塗料で、一般の認識では、シリコンよりやや上のグレードです。ご参考ページ
  • 油性/水性:それぞれにメリット&デメリットがあります。詳細は「その5」で紹介します。
  • 塗装回数: 1~3回
  • 塗装方法: クリヤー塗装、塗りつぶし塗装(単色、多色塗り)

<保証は判断材料に入れない方がよい>
大体の塗装業者が保証を付けてくれます。しかし、いかようにでも言い逃れできる条件を付けたり、数年後には連絡が取れなくなったりと、悪徳な業者も中には存在します。
そうでない業者であったとしても、全てを無料保証するというのは経営的に無理だと思います。
(参考サイト:外壁塗装コンシェルジュ

(4) 状況によっては出来ないこともあるので事前確認を!

  • 直張り工法 or 通気工法(全国標準工法)
    現状が「直張り工法」の場合、塗装工事は施工できなくて、サイディング自体の張り替え工事になること(瑕疵レベル)もありえます。
     
  • キズや劣化の状態を確認
    キズや劣化の状態が進んでいると、下記(その5)の「クリヤー塗装」が施工できないことがあります。
     
  • 外壁面積は自分で調べてみましょう
    インターネットで調べた情報を鵜呑みにせず、ご自分で外壁面積を調べてみてください。詳細は上記「その3」の<外壁面積のトリック>を参照してください。

(5) 希望の仕上がりのために塗装方法を選ぶ

  • クリヤー塗装 or 塗りつぶし塗装
    現状の色味や模様を活かしたいなら「クリヤー塗装」ですが、光触媒や無機の表面コーティングが施されているサイディングにはクリヤー塗装は出来ません。「塗りつぶし塗装」はサイディングの上に塗料をベタ塗りしていきます。単色、2色塗り等ありますが、色を多用した方が費用は高くなります。
     
  • 油性 or 水性
    あまり大差はないといわれていますが、ツヤ・耐久性などの機能面では油性が一歩リード。
    施工中の臭いや健康面を考慮するなら水性がお勧めです。近隣へのストレスも少ないです。あと、水性の方が管理しやすいので業者にも優しい塗料です。

(6) 業者を知り、業界を知る

<業者を知る>
価格交渉の度が過ぎると、業者さんも商売なので、塗料のグレードを下げざる負えなくなったり、人工(にんく)を減らすなどの工面が出てきます。
誠意ある業者さんに対しては、ユーザー側も誠意で返すべきです。大体の相場感は知っておくべきでしょう。その知識が結果的には、詐欺まがいの業者から己を守る盾になるのですから。

<業界を知る(仲介マージン)>
ハウスメーカーや工務店経由で塗装工事を依頼すると仲介マージンが上乗せされることがあります。私の知り合いは、このケースで約200万円を支払ったそうです。おそらく、仲介マージンとして10%が乗っていたのでしょう。初めての工事だったので安心料を払ったということにしたらしいのですが、次回からは下請けの専門業者に直接依頼すると言ってました。

 施工費(165万) × 仲介マージン(16.5万) + 消費税 = 約200万円

これとは別のケースになりますが、工賃に仲介マージンが最初から含まれていることがあります。この場合、業者に負担がかかるのかと思いきや業者も商売ですから、施工時間を短くしたり、塗料材の品質を下げざる負えないそうです。結局のところ、しわ寄せは消費者のところに来るようです。

<結論>
専門業者に直接依頼しないと余計な負担が消費者本人にかかってくるかもしれません。はじめは、ハウスメーカー等から紹介してもらうのもよいですが、信頼できる業者がみつかったら、次からは直接依頼を検討しましょう。

(7) 助成金を活用

給付金(補助金・助成金)について、自治体(県や市)のホームページにてご確認ください。指定条件の確認や事前申請など手間ではありますが、使わない手はありません。

自治体が指定している工事条件の例

出典一覧

参考になるサイトや動画

業者を紹介する仲介サイト

ネットで簡単に、ご自宅周りの相場を確認したり、相見積もりができる業者仲介サイト「ヌリカエ」をご紹介します。質問に回答するだけで簡単に見積りができるので、仲介サイトの中では一番使いやすいかと思います。


外壁塗装(屋根工事)専門業者

神奈川県央編

おまけ

  • 振動が頻繁がある場所ではクラッキングが起こりやすいです。例えば、車通りがおおい道が近くにある場合等がこれに当たります。また、家の内側からの振動(洗濯機等)もクラッキングの原因になります。洗濯機の下に振動防止シートを付けることをお勧めします。
  • 日陰や風通りの悪い個所の外壁には苔が生えやすいです。気が付いたときは、濡れ雑巾等でふき取ることをお勧めします。
タイトルとURLをコピーしました